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Shopify 新しい顧客アカウントの基本と移行ステップを実務目線で整理

Shopify の新しい顧客アカウントは、パスワード不要のログインで離脱を減らせる一方、従来アカウントとは機能差分があります。この記事では、違いとメリット・デメリットを整理しつつ、移行前チェックリストと実務担当者が押さえるべき設定・告知方法を具体的に解説します。

Shopify ストアで顧客がワンタイムコードを使ってスムーズにログインしている様子を表す抽象的なイラスト
AI generated (gpt-image-1)

結論として、新しい顧客アカウント(New Customer Accounts)は、今から構築・リニューアルするストアでは「原則こちらを採用」し、既存ストアは機能差分を確認したうえで段階的に移行を検討するのが現実的です。特に、ログイン率の改善や今後の拡張性を重視する場合は、新アカウントへの対応を早めに進めた方が有利になります
一方で、従来の顧客アカウントページに依存したカスタム機能や一部のアプリをそのまま使っているストアでは、安易に切り替えると「注文履歴が見えない」「ポイントが使えない」といったトラブルにつながりかねません。この記事では、Shopify 公式ドキュメントで確認できる範囲の仕様をベースに、新しい顧客アカウントの特徴と移行の考え方を、実務担当者がそのまま ToDo に落とし込める粒度で整理します。まずは仕組みの違いとメリット・リスクから見ていきます。

新 Customer Accounts の仕組みと従来との違い

パスワード入力とワンタイムコード入力の 2 つのログイン方法を比較した図
従来のパスワード式ログインと、新しいワンタイムコード式ログインの違いをイメージで整理

新しい顧客アカウントは、Shopify が提供するログイン画面を使い、メールアドレスまたは電話番号に送られるワンタイムコードなどでログインする仕組みです。従来のようにストアごとにパスワードを設定・管理する必要がなく、いわゆる「Shopify の一元的なログイン体験」に寄せた設計になっています。パスワードを忘れてログインできない、という典型的な離脱要因を減らしやすいのが特徴です
従来の顧客アカウントは、ストア側で用意した /account ページにユーザー名・パスワードでログインし、注文履歴や住所を閲覧する仕組みでした。このページは Liquid テンプレートで書き換えができたため、独自の会員メニューやポイント表示などを載せているストアも少なくありません。一方、新しい顧客アカウントでは、ログイン後の画面は Shopify がホストするページとなり、テーマから直接レイアウトを編集することはできません
Shopify 公式の機能比較では、新アカウントは「ログイン体験の改善」と「今後の機能追加のベース」と位置づけられており、新しいチェックアウトや Shop アプリとの連携も前提になっています。長期的には新アカウントが標準になる流れのため、これから新規ストアを作る場合は、よほどの理由がなければ新アカウント前提で設計するのが現実的です。

従来アカウントと違い、新アカウントではログイン URL も異なります。テーマ側の「ログイン」「マイページ」リンクを貼り替え忘れると、お客様が 404 ページに飛んでしまうケースも起こり得ます。移行時には、管理画面の設定だけでなく、ナビゲーションやメールテンプレート内のリンク先もあわせて確認することが重要です。

新しい顧客アカウントを使うメリットとリスク

実務担当者の視点で見ると、新しい顧客アカウントのメリットは主に 3 つあります。1つ目は、パスワードレスなログインによる離脱の減少です。EC では「パスワードを忘れた」ことがカゴ落ちの理由になることが多く、特に年数回しか買わないお客様ほど影響が大きくなります。メールアドレスか SMS でワンタイムコードを受け取ってログインできる仕組みは、このハードルを下げるのに有効です
2つ目は、今後の機能拡張との相性です。Shopify は新しいチェックアウトや Shop Pay などを継続的に強化しており、それらと一体となった顧客体験は新アカウント側で優先的に提供されます。3つ目は、セキュリティとメンテナンスの負担軽減です。パスワードリセットメールのトラブルや、独自実装したログインフォームに起因する不具合が減ることで、サポート対応や開発コストを抑えやすくなります。

一方で、リスクやデメリットもはっきりあります。代表的なのは、従来のアカウントページに載せていたカスタム情報をそのまま表示できないことです。例えば、独自の会員ランク表示や、独自アプリで管理しているポイント残高を /account ページに出していた場合、新アカウントに切り替えると「どこからも見えない」状態になりかねません
また、アプリによっては従来アカウント前提のものが残っており、新アカウントに対応していないと、ログインボタンが二重に出てしまったり、マイページへの動線がバラバラになったりする失敗例もあります。特に、古くから使っている会員制・ポイント系アプリは、事前に「新しい顧客アカウント対応状況」を必ず確認し、疑問があればベンダーに問い合わせてから切り替えるのが安全です。

もう 1 つ見落としがちなのが、スタッフ側の運用フローです。問い合わせ対応で「ログイン方法が分からない」「どこから注文履歴を見ればいいか」と聞かれたときに、スタッフが新アカウントの画面構成を理解していないと、説明に時間がかかります。切り替え前に社内用の簡単なマニュアルを作り、最低限「ログイン URL」と「注文履歴・住所の見え方」だけでも共有しておくと混乱を減らせます。

移行前に必ず確認したいチェックポイント

顧客アカウント移行前に確認すべき項目のチェックリストを見直している店長のイメージ
切り替え前に /account カスタマイズやアプリ依存を棚卸ししておくことが重要

従来アカウントから新しい顧客アカウントへの移行を検討する場合は、いきなり本番環境で切り替えるのではなく、事前に次のポイントを洗い出しておくとトラブルを抑えられます。特に、既に 1,000 件以上の会員登録があるストアや、リピート比率が高いストアほど、ログイン周りの変更に敏感です
まず確認すべきは「/account ページにどんな情報を載せているか」です。テーマのテンプレートや、カスタムアプリ・スクリプトで追加している要素を棚卸しし、「注文履歴」「住所」以外に表示しているものをすべて書き出します。会員限定コンテンツへのリンクや、定期購買のマイページリンクなど、地味なリンクが売上に効いているケースも多いため、細かく洗い出します。

  • /account ページのカスタム要素(ポイント、会員ランク、限定ページへのリンクなど)の棚卸し
  • ログインを前提に動くアプリ(会員制、定期購入、ポイント、サブスク)の一覧化
  • メルマガやステップメール内にある「マイページ」「注文履歴」へのリンク URL の確認
  • ナビゲーション・フッター・注文確認メールなどにあるログインリンクの確認
  • スタッフが使う FAQ・マニュアルの更新が必要かどうかの判断

次に確認したいのはアプリとの連携状況です。アプリの管理画面やドキュメントに「新しい顧客アカウント対応」といった記載があるか、なければサポートに問い合わせて確認します。ここで曖昧なまま切り替えると、「特定のプランだけ非対応だった」「国別ドメインだと正しく動作しない」といった細かい問題が後から出てきます
最後に、ログイン体験が売上にどの程度影響しているかをざっくり把握しておくのも有効です。例えば、直近 3 か月で「パスワードを忘れた」関連の問い合わせが何件あったか、パスワードリセットメールの開封率がどれくらいか、といった数字を見ると、ログイン改善の優先度を判断しやすくなります。体感で「多い気がする」だけで移行を決めず、いくつかの指標を見たうえで判断することが大切です。

設定パターンと段階的な切り替え方

Shopify の管理画面では、顧客アカウントの設定として「従来アカウントのみ」「新アカウントのみ」「両方を許可」といったパターンを選べます。既存ストアが新アカウントに移行する場合は、一気に「新アカウントのみ」に切り替えるより、「両方を許可」する期間を設ける方が現実的です。これにより、従来のログインフローに慣れているお客様にも配慮しつつ、新しいログイン体験を試せます
具体的には、まず内部テストとしてスタッフ用のテスト顧客で新アカウントにログインし、注文履歴や住所の見え方を確認します。その後、お知らせページやメルマガで一部の常連顧客にだけ新アカウントの案内を送り、ログイン率や問い合わせ内容を確認します。この「試験運用フェーズ」を 1〜2 か月ほど設けるだけでも、本格移行時のトラブルをかなり減らせます。

段階的な切り替えを行う際は、テーマ内のログインボタンやマイページリンクの扱いにも注意が必要です。「ログイン」ボタンは新アカウントの URL に統一しつつ、従来アカウントでしか動かない機能がある場合は、その機能への導線だけは別途 FAQ やメールで案内する、という折衷案も現実的です
また、国・言語ごとにドメインやサブドメインを分けているストアでは、それぞれのストアで顧客アカウント設定を揃えるかどうかも事前に決めておく必要があります。特定の国だけ先行して新アカウントを試す場合は、サポート窓口の案内やヘルプページの内容も国ごとに分けておくと、お客様の混乱を抑えられます。

ログイン率を下げない告知・導線づくり

顧客アカウント周りの変更で失敗しがちなのが、「設定は正しいが、告知と導線が足りない」というパターンです。突然ログイン画面が変わると、お客様はそれだけで不安を覚えます。特に、年配の方や企業の購買担当者など、変化を嫌う層が多い業界では、画面の変化が問い合わせ増加の直接要因になることもあります
ログイン率を下げないためには、ストア内とメールの両方で事前告知をしておくのが有効です。例えば、「マイページのログイン方法が変わります」というお知らせを、トップページのバナーやお知らせ記事として 2〜4 週間ほど掲載し、そこから新しいログイン方法の説明ページへ誘導します。同時に、メルマガや発送完了メールのフッターにも「ログイン方法変更のお知らせ」へのリンクを追加しておくと、お客様が迷ったときにすぐ情報にたどり着けます。

説明ページでは、専門用語は避けて「パスワードを覚えておく必要がなくなります」「登録メールアドレスに届いたコードでログインできます」といったメリットベースの表現にします。「仕様が変わったから」ではなく、「お客様の手間を減らすために変えた」と伝えた方が受け入れられやすくなります
また、移行初期に問い合わせが増えることを前提に、カスタマーサポート向けの回答テンプレートを用意しておくと、対応品質を揃えやすくなります。例えば、「ログイン方法が変わったことへの説明」「従来アカウントのパスワードが使えないことの説明」「メールが届かない場合のチェックリスト」など、よくある質問ごとに定型文を用意しておくと、担当者による回答のバラつきも抑えられます。

RecoBoost ならこう活かす:ログイン後のレコメンド最適化

新しい顧客アカウントに切り替えると、「誰がログインしているか」をより安定して把握できるようになります。RecoBoost を導入しているストアであれば、このログイン情報と注文履歴をもとに、ログイン直後のトップページや商品ページ下部に「そのお客様専用」のレコメンドを出し分ける設計がしやすくなります。例えば、直近 3 か月以内に購入したカテゴリの商品はレコメンドから外し、関連する上位モデルや消耗品だけを出すことで、リピート率やクロスセル率の向上を狙えます。新アカウント移行のタイミングで、「ゲスト時のレコメンド」「ログイン後のレコメンド」を分けて設計しておくと、ログインの価値をお客様にも感じてもらいやすくなります。

まとめると、新しい顧客アカウントはログイン体験の改善と将来の拡張性という意味で、今後の Shopify 運営の標準になる可能性が高い機能です。一方で、従来アカウントに依存したカスタマイズやアプリがあるストアでは、事前の棚卸しとテストをせずに切り替えるとトラブルにつながります。「現在の /account で何をしているか」「どのアプリがログインに依存しているか」「ログイン体験が売上にどれだけ影響しているか」を整理したうえで、両方を許可する期間を設けつつ段階的に移行するのが現実的です。ログイン周りの変更は売上に直結するテーマなので、設定だけでなく、告知・導線・サポート体制まで含めて計画的に進めていくのがおすすめです。