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Shopifyで在庫切れを防ぐ運用設計:ロケーション管理とアラート活用

Shopifyで在庫切れを減らすには、ロケーションを正しく分けて在庫を紐付けることと、在庫アラートと「在庫切れでも販売を続ける」設定を組み合わせて運用することが重要です。この記事では、マルチロケーション前提の在庫設計から、入荷待ち・取り寄せ商品の売り方、現場でよくある失敗パターンまでを実務目線で整理します。

Shopifyの在庫をロケーションごとに管理し、在庫アラートで在庫切れを防ごうとしている運営担当者のイメージイラスト
AI generated (gpt-image-1)

Shopifyで在庫切れを完全になくすことは難しいですが、「起きても売上を落とさない」設計はできます。ポイントは、ロケーションごとの在庫を正しく管理しつつ、アラートと販売設定を組み合わせて「切らさない・逃さない」状態を作ることです。実店舗とECを両方運営しているストアほど、この設計が売上と顧客体験に直結します。ここではShopify公式の仕様に沿って、現場で実装しやすいステップに分解して解説します。まずは結論として、次の3つを押さえることが重要です。1)ロケーションを実態どおりに分け、在庫数と販売チャネルを紐付ける 2)在庫が減ったタイミングでわかる仕組み(アラート)を入れる 3)在庫切れになっても販売を続けたい商品は、ルールを決めて設定・表示を整える これを前提に、順番に見ていきます。

Shopifyの在庫管理の前提:ロケーションと在庫数の関係

在庫切れ対策を考える前に、Shopifyの在庫管理の前提を押さえておく必要があります。Shopifyでは、在庫管理を有効にした商品は、ロケーションごとに在庫数を持ちます。ロケーションとは、倉庫や実店舗など、在庫を保管して発送できる物理的な場所を指します。マルチロケーションを使うと、1つの商品が複数のロケーションに在庫を持つことができます。たとえば「自社倉庫に30個、実店舗に20個」のように管理できます。どのロケーションの在庫をオンラインストアで販売するかは、ロケーションごとに販売チャネルの割り当てを設定します。オンラインストアに割り当てていないロケーションの在庫は、オンライン在庫としてはカウントされません。実店舗側だけに割り当てることも可能です。

在庫数は、各ロケーションの在庫数の合計が「合計在庫」として表示されます。ただし、注文が入ったときにどのロケーションから引き当てるかは、Shopifyのフルフィルメントの優先順位ルールに従います。ここでよくあるのが、「実店舗の在庫もオンラインで売っているつもりだったのに、ロケーション設定でオンラインストアに割り当てておらず、在庫切れ扱いになっていた」というケースです。ロケーションを増やすと運用の自由度は上がりますが、「どのロケーションの在庫をどのチャネルに使うか」を設計しないと、在庫はあるのに売れない・逆に売りすぎて実店舗が欠品するといった問題が起きます。

まずは管理画面の「設定」→「ロケーション」で、自社の在庫が存在する場所と、そのロケーションに割り当てた販売チャネルを棚卸ししてください。実態と合っていないロケーション(閉店した店舗、使っていない倉庫など)が残っていると、在庫数の把握が難しくなります。ロケーションを整理するだけで、「在庫はあるのに在庫切れ表示」という機会損失はかなり減らせます。

マルチロケーション在庫を運用するときの設計ポイント

1つの商品が複数ロケーションに在庫を持ち、オンラインと実店舗にそれぞれ割り当てられているイメージ図
マルチロケーションでは「どの在庫をどのチャネルで売るか」の設計が重要です。

マルチロケーションを活用しているストアでは、「ロケーションを増やした瞬間に在庫管理が複雑になった」と感じることが多いはずです。在庫切れを防ぐうえでは、「どのロケーションの在庫をどこまでオンラインで売るか」をあらかじめ決めておくことが重要です。代表的なパターンは次の3つです。1)オンライン専用ロケーションと実店舗ロケーションを分ける 2)実店舗の在庫もオンラインに開放する 3)倉庫ロケーションに全在庫を集約し、店舗は取り寄せ前提にする どのパターンを選ぶかで、「在庫切れの起きやすさ」と「店舗の欠品リスク」のバランスが変わります。

たとえば、売れ筋商品を実店舗とオンラインで共有在庫にしていると、週末の店舗販売で一気に在庫が減り、週明けにオンラインが在庫切れになっている、といったことが起きやすくなります。一方で、オンライン専用在庫を別ロケーションに持てば、オンラインの在庫切れリスクは下がりますが、トータル在庫が少ないと店舗側が売り逃すこともあります。実務上は、「売れ筋はオンライン専用在庫を確保する」「単価が高く回転の遅い商品は共有在庫にする」など、商品タイプごとにロケーションの使い方を分ける運用が現実的です。

Shopifyでは、各ロケーションの在庫数は手動更新のほか、入庫・出庫のたびに調整する必要があります。実店舗がある場合は、POSで販売した分が自動でロケーションの在庫数から減りますが、「店頭での取り置き」「店間移動」など、POS以外の動きが多いと、在庫数とのズレが蓄積します。「実店舗での販売実績とShopify上の在庫差異を、週1回は確認する」といった定期チェックを運用ルールとして決めておくと、在庫切れの予測精度が上がります。

在庫切れを事前に防ぐ:在庫アラートの考え方

在庫数が減少し、ゼロになる前にアラート通知が発生している様子のイメージ図
リードタイムを踏まえた在庫アラートで、在庫ゼロになる前に動けるようにします。

在庫切れを防ぐには、「在庫がゼロになった瞬間」に気づくのではなく、「補充に必要なリードタイムを見込んだ在庫数」でアラートを出すことが重要です。たとえば、発注から入荷まで10日かかる商品なら、「平均1日あたりの販売数×10日分+安全在庫」を下回った段階で通知される必要があります。平均1日5個売れる商品でリードタイム10日、安全在庫5個なら、在庫55個を下回った時点でアラートが必要という計算になります。

Shopify管理画面には、在庫が一定数を下回ったときに自動でメール通知する標準機能はありません。ただし、Shopify Flow(対応プランのみ)や在庫アラート系のアプリを利用することで、在庫数に応じた通知を設定できます。特にマルチロケーション環境では、「オンライン用ロケーションの在庫数を監視する」「実店舗+オンラインの合計在庫を監視する」といった粒度でルールを決めることが大切です。どの在庫を基準に補充判断をするのかが曖昧だと、「店舗には在庫があるのに、オンライン用の在庫は尽きていた」といった片寄りが起きやすくなります。

運用上の失敗として多いのは、「全商品に一律の在庫アラート閾値を設定してしまう」ケースです。回転の早い商品と遅い商品では、適切な閾値が大きく異なります。最低でも、「売れ筋」「標準」「長期在庫」の3区分くらいでリードタイムと安全在庫を決め、CSVやアプリなどを使って商品にタグやメタフィールドで区分を持たせると、在庫アラートのルール設計がしやすくなります。

在庫切れでも売上を守る:販売継続・入荷待ち・取り寄せの運用

Shopifyの商品設定では、「在庫がなくてもこの商品を販売する」というチェックボックスをオンにすることで、在庫数がゼロ以下でも注文を受け続けることができます。いわゆるバックオーダー(予約・取り寄せ販売)に近い運用が可能です。在庫切れでページ自体が売り止めになってしまうより、購入意欲の高い顧客を逃さないという意味では有効な手段です。ただし、この設定を入れる場合は「いつ・どのように届ける商品なのか」を商品ページ上で明確に伝えることが欠かせません。

実務で起きがちなトラブルは、「在庫がゼロでも販売継続にしていた結果、想定以上に注文が入り、入荷予定数を超えるバックオーダーを抱えてしまった」というケースです。これを防ぐには、販売継続を使う商品を限定し、さらに「入荷予定数を決めて、予定数を超えたら一時的に販売を止める」というルールを設ける必要があります。たとえば、次回入荷予定が100個なら、「入荷待ちとして受注する上限は80個」「80個を超えたら、一度販売継続のチェックを外す」といった運用です。入荷予定数はメタフィールドやタグなどに保持しておくと、アプリやスプレッドシート連携でチェックしやすくなります。

また、「取り寄せ商品」として常時在庫を持たない商材の場合も、「通常より発送まで〇〜〇日ほどお時間をいただきます」と納期を明示することが重要です。Shopifyの標準機能では、在庫数に応じて自動で文言を切り替える仕組みはありませんが、商品メタフィールドとテーマのカスタマイズを組み合わせることで、「在庫あり」「取り寄せ」「予約受付中」といったステータス表示を分けることが可能です。この表示があいまいなまま販売継続だけを有効にすると、問い合わせ・キャンセル対応に追われ、結果的に在庫切れ以上の負荷がかかります。

在庫切れ時の顧客体験:通知・代替提案・表示の工夫

在庫切れは完全には避けられない以上、「在庫切れになったときに、どれだけ気持ちよく次のアクションにつなげられるか」が顧客体験の差になります。具体的には、1)再入荷通知の受付 2)似ている商品の提案 3)在庫状況のわかりやすい表示 の3つを押さえておくと、在庫切れによる離脱を減らせます。再入荷通知は、アプリなどを使って「在庫がゼロになった商品に通知登録ボタンを表示し、在庫が増えたタイミングでメール送信」する仕組みを作るのが一般的です。1商品あたりの再入荷通知登録者数を見れば、「どの商品を優先的に再発注すべきか」の判断材料にもなります。

代替商品の提案は、在庫切れ商品ページで特に効果があります。カラー違い・サイズ違い・類似カテゴリの商品をレコメンドしておくことで、「この商品は買えないから離脱」ではなく、「似た商品なら買ってもいい」に変えられます。とくにアパレルやコスメのように代替のききやすい商材では、在庫切れ商品の閲覧数がそのまま他商品の売上につながることも少なくありません。一方で、単一ブランド・限定品中心のストアでは、「在庫切れ商品へのアクセスはファンの熱量の指標」として捉え、再生産や次回企画の優先度決定に役立てる、といった使い方もあります。

表示の工夫としては、「在庫切れ」「売り切れ」の一言だけで終わらせないことが重要です。「次回入荷予定:〇月下旬」「再入荷通知を受け取る」「別カラーはこちら」といった、次のアクションをセットで提示します。また、リストページやコレクションページでは、完全に非表示にするか、あえて「SOLD OUT」ラベルを付けて残すかも検討ポイントです。人気の証としてあえて見せたい場合もありますが、在庫切れ商品が一覧の半分を占めているような状態は、ユーザー体験としてはマイナスに働きやすいです。定期的に在庫切れが長期間続いている商品を洗い出し、アーカイブや非表示にする運用もあわせて設計しておきましょう。

RecoBoostならこう活かす:在庫状況に応じたおすすめ制御

RecoBoostは、商品レコメンドを在庫状況と連動させて制御できます。たとえば「在庫数が少ない商品はトップページのおすすめから除外する」「在庫切れ商品のページでは、同じカテゴリの在庫あり商品を優先して表示する」といった設定で、在庫リスクと売上のバランスを取ることが可能です。マルチロケーション運用の場合でも、「オンラインストアに割り当てた在庫」を基準におすすめを最適化できるため、「店頭在庫はあるがオンライン在庫はゼロ」といった商品がレコメンドに出続ける、といった問題を避けられます。在庫アラートや入荷予定の運用と組み合わせることで、「在庫を切らさない工夫」と「切れても売上を守るレコメンド」を両立しやすくなります。

在庫切れをゼロにすることを目指すより、「どの在庫をどこで売るか」「いつ補充に動くか」「切れたときにどうフォローするか」をあらかじめ決めておくほうが、Shopify運営には現実的です。ロケーションと在庫アラート、販売継続設定を組み合わせて、自社の商材と体制に合った在庫ルールを固めておくと、日々のオペレーションが安定し、在庫切れによる機会損失も着実に減らせます。